概要
自己保持回路とは電磁開閉器や継電器(リレー)が自己の接点を利用して、コイルの励磁状態を保持する回路です。
自己保持回路は主にモーターの起動・停止を行うために使用されてます。
イラストのような回路が一般的なものになります。
簡単に言えば、操作用コントロールボックスの運転ボタン(PBON)をONすることでモーター起動。
その後、停止ボタン(PBOFF)を押すまでモーターが運転し続ける、という形になります。
またモーター過負荷時には自動的に自己保持が解ける必要があります。過負荷状態のまま稼働すれば、モーターが焼損してしまうからです。
上記条件を満たす回路が、自己保持回路ということになります。
ちなみに各機器については、下記の記事をご参考ください。
自己保持回路の回路図
自己保持回路の概要が分かったところで、今度は実際に自己保持回路の回路図を見ていきましょう。
先のイラストと見比べながら、回路構成を確認してみてください。
動力回路
漏電遮断器ELCB ⇒ 電磁接触器MC ⇒ サーマルリレーTHR ⇒ モーター
という順番で3Φ200Vの電流が流れます。
制御回路
制御回路は動力回路のR相-S相から200Vを取って構成しています。
そこから操作用コントロールボックスのONボタン、OFFボタン、電磁接触器MCの補助接点、サーマルリレーのb接点、そして電磁接触器MCのコイルへと接続されています。
この制御回路側の構成こそが、自己保持回路になります。
自己保持回路の起動
まず自己保持回路の起動動作を順を追って見ていきましょう。
①操作用コントロールボックスPBONをON
まずはオペレーターなど、人がコントロールボックスのONボタンを押すことで始まります。
②MC回路が導通
PBONのa接点が閉じたことで、電磁接触器MCコイルが励磁します。
押釦PBOFFとサーマルリレーTHRは共にb接点であるため、常時導通です。
③電磁接触器MCの接点がON
電磁接触器MCのコイルが励磁したため、R相S相T相の主接点、制御回路側の補助接点が同時にONします。
RSTのMC主接点が導通になるため、ここでモーターが起動します。
④MC補助接点により、MCコイルの励磁が解けない
①~③が一瞬の内に起こり、その後オペレータはPBONから手を離し、a接点が外れます。
しかし並列に接続している電磁接触器MCの補助接点が投入されているため、MCコイルの励磁は解けません。
当然モーターも運転状態をキープします。
このように自らの接点が自己のコイルを励磁し続けるため、自己保持回路と呼ばれているのです。
自己保持回路のリセット・停止
次に自己保持回路の停止・リセット動作を順を追って見ていきましょう。
①MCコイル励磁回路の開放
自己保持回路の解除は、今回の回路の場合は以下の二通りです。
- コントロールボックスPBOFFを押して、b接点を外す。
- サーマルリレーTHRが過電流を検知し、バイメタルによりb接点を外す。
ようは電磁接触器MCコイルへの導通さえ、止めれば良いということですね。
②モーター動力回路の開放
①の操作によって電磁接触器MCの励磁が解けるため、モーターへの電力供給が停止します。
一度解除すれば、再度PBONボタンを押さなければ起動しません。
まとめ
- 自己保持回路とは、電磁開閉器やリレーが自己の接点により、コイルの励磁を保持する回路である。
- 自己保持回路は主に、モーターなど動力回路の制御に用いられる。
参考文献・サイトについて
- 三菱電機 FA e ラーニング『配電制御機器(電磁開閉器編)』https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/wap/eln/courseInfo.do?actId=crs&courseId=fa_0136
コメント
[…] 【制御】自己保持回路について概要 自己保持回路とは電磁開閉器や継電器… […]