概要
パッケージタイプPLCとは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)の一種で、電源・CPU・入出力機能などが一体となっているPLCを指します。
※PLCについての詳しい解説は下記記事をご参考ください。
PLCは大きく分けてビルディングブロックタイプという「増設や改造に向いた高価格・高機能なモデル」と、パッケージタイプという「拡張性などが低いものの、低価格でコンパクト」というモデルの二種類が存在します。
パッケージタイプは外部からの電源を供給を受ける「電源」、演算を実際に行う「CPU」、外部機器からの信号を送受信する「入出力」が一個にまとまっています。
ビルディングブロックタイプのように、ベースユニット・電源ユニット・CPUユニット、入出力ユニット……というように一つ一つ購入する手間がいらず、比較的低コストでPLCを導入できるメリットがあるんですね。
装置メーカーなどが、自社の製品やそれ付随する制御盤へと採用するケースが多く、特に三菱電機のFシリーズは国内においてよく見かけると思います。
そのため三菱Fシリーズをモデルに、次項以降を述べていきます。
基本ユニットの構成
パッケージタイプPLCの構成について見ていきましょう。(モデル三菱Fシリーズ)
下記イラストを参考にしてみてください。
①入力端子
スイッチやセンサなど、外部機器からの配線を繋ぎこむエリアになります。
②出力端子
ランプやコイルなどの機器へと配線を繋ぎこむエリアになります。
③接続コネクタ
パソコンなどのプログラミングツールと接続するためのインタフェース部です。
RS-422、USBなどのケーブルを接続するためのポートが用意されています。
④LED表示部
LEDの点灯によって、PLC本体の動作状態を表示します。
⑤電源・サービス電源端子
「電源」はPLC本体が稼働するために必要な電源供給を受けいれる端子部です。AC電源、DC電源から選択できます。
「サービス電源」とはセンサなどが駆動するために必要な、DC24V電源を供給できる端子です。この機能があればパワーサプライなどで直流電源を用意する必要がないため、盤内スペースを有効活用することが可能です。
※パワーサプライについては以下の記事をご参照ください。
上記までが基本ユニットと呼ばれる、標準装備の機能になります。
電源・CPU・入出力などの基本的な機能が初めからあるため、一台購入すれば小規模なシステムなら賄うことが出来ます。DC24Vサービス電源もパワーサプライを省略できるため便利ですね。
以上で不足する機能がある場合は、次項で触れるオプションを追加することで対応可能です。
増設オプションの構成
基本ユニットだけでは計装アナログ信号(4~20mA)などの送受信や、他の端末との通信機能などが不足する場合があります。
また単純に入出力の点数が少ないというケースもあるでしょう。
こういった要求に応えるのが、増設ブロックなどの後付けできるオプションになります。
下のイラストを見ながら述べていきます。(参考:三菱Fシリーズ)
①増設ブロック/ユニット
デジタル(接点やトランジスタ)とアナログ(4~20mAなど)問わず、入出力を増設するためのオプションです。また通信用ブロック/ユニットも増設可能です。
パッケージタイプPLCはベースが存在しないため、増設用のオプションは基本的に横に連結させる形となり、イラストのように右側に配置することになります。
②機能拡張ボード
RS232、RS485、USBなどの通信インターフェースや、アナログ入出力用の端子を増設可能です。
③特殊アダプタ
RS485、Ethenetなどの通信、またアナログ信号、高速入出力などの送受信するためのコネクタを増設出来ます。
上記のようにオプションには基本ユニットには装備されていない、一歩踏み込んだ用途で使用されるものが多いです。
「入出力点数が足りない」というケースは簡単に想像できますが、そのほか「装置メーカーが収めたPLCも遠隔で監視したい」という場合は通信ユニットで対応することも可能です(※機種による)
三菱Fシリーズのような近年のパッケージタイプPLCは、エッジコンピューティング(より装置に近いところでデータ処理を行うという考え方)に基づく分散制御にも使用できるため、想像以上に活躍の場は広いと言えるでしょう。
まとめ
- パッケージタイプPLCは拡張性はやや低いが、低価格でコンパクトである。
- 基本ユニットに電源・CPU・入出力などの機能が標準で搭載されている。
- オプションによって入出力の種類と点数を増やせ、また高度な通信も可能である。
参考文献・サイト
- 熊谷 英樹『ゼロからはじめるシーケンス制御』日刊工業新聞社,2001年
- 三菱電機 FA e ラーニング『MELSEC-Fシリーズ基礎』 https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/wap/eln/courseInfo.do?actId=crs&courseId=fa_0162
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