概要
PoEとは(Power Over Ethernet)の略で、イーサネット通信で利用するLANケーブルを通して電力を供給する技術を指します。
工場やビルなどでは監視カメラ(ネットワークカメラ)というものが設置されますが、ほぼこの技術が使用されています。他にも無線LANアクセスポイント・IP電話への電力供給などにも利用されます。
多くの場合はイラストのようにPoEに対応したHUBなどから、対応機器へとLANケーブルを通じて電力供給がされます。ちなみにLANケーブルはカテゴリ5以上であることが求められます。
ちなみに給電側の機器をPSE(Power Sourcing Equipment)、受電側の機器をPD(Powered Device)と呼称します。
電気計装エンジニアはITエンジニアではないとはいえ、工場やビルで監視カメラ等が故障すれば、大抵設備担当に連絡が行くため、この技術を知らなければ調査や修理に一苦労するかもしれません。
PoEのメリットについて
PoEは通信用のLANケーブルによって電力供給が出来ることから、以下のメリットがあります。
- 現場側に電源コンセントを用意する必要がない
- LANケーブル一本で済むため、省配線で外観を損ねない
- 施工コストが安く済む
LANケーブル一本の施工で済むという点は、電気配線工事の施工コストを大幅に下げることに繋がります。
現場側にコンセントを設置しないため、電気火災のリスクも少なくなり、天井裏などから配線を行えば外観も損ねにくいです。
今どきの工場やビルの無線機器・ネットワークカメラには、もはや標準装備ともいえる技術なんですね。
PoEの給電について
利便性に大変優れるPoEですが、給電方法にはオルタナティブA・オルタナティブBの二種類が存在します。
LANケーブルは、8本の絶縁被覆付き銅線が2本ずつ撚り合わされて(ツイストペア)構成されています。このうちのどれを給電に使用するのか、というのがこの二種類の違いです。
オルタナティブA
10BASE-T/100BASE-TXのデータ線と電力供給線を共用する方法です。RJ45コネクタの1,2,3,6ピンを使用します。
オルタナティブB
10BASE-T/100BASE-TXのデータ線で使用されない部分、つまりRJ45コネクタの4,5,7,8ピンを電力供給線として使用します。
またネットワークカメラなど受電側の機器には25kΩの抵抗が内蔵されています。
スイッチングハブなどPSE側が確認用の2.8V~10Vの電圧をかけ、この際の電流値によってPoEに対応した機器であるかを判断することができます。
この安全機構によって、PoE非対応の機器に誤って電力供給する恐れがなくなるのです。
まとめ
- PoEはLANケーブルを通じて電極供給を行う技術。
- 省配線、工事が簡便になることから施工コストを下げられる。
- PoEには二つの給電方式、その他安全機構が存在する。
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