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【進相コンデンサ(SC)】原理・仕組みについて ~直列リアクトルと力率改善~

高圧
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概要

高圧進相コンデンサとは、キュービクルや受電所などの高圧受電設備において用いられる電気機器になります。

電力会社から受電した電力は、変圧器を利用することで200Vや100Vに降圧され、需要家内の電動機や電灯をはじめとする負荷の動力として使用されます。

しかしこういった負荷は、力率が60~80%程度の遅れとなる場合が多く、そのままでいてはせっかく受電した電力を効率よく活用できません。

(※力率とは「皮相電力に対する有効電力の割合」を示し、この値が小さいほど無効電力が多くなり、送電しても使用されない電力が増えてしまう。)

電力会社側では、使用されなかった電力は請求することができず、不利となります。

そこで需要家、電力会社双方のデメリットを改善するのが、進相コンデンサとなります。

高圧進相コンデンサの役割と構成について

電動機や電灯などの力率は「遅れ」となりますが、進相コンデンサはその名の通り力率は「進み」となります。

進相コンデンサを需要家の電力系統に接続することで、止むえず発生した遅れの位相を、強制的に進ませ系統全体としての力率を1(=100%)に近づけるということになります。

ちなみに進相コンデンサは、通常直列リアクトルと併用して使用されます。

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進相コンデンサによる力率改善

前述したように進相コンデンサは、位相を進ませることで力率を改善させます。

電動機や灯具によって総合的な力率が低下すると、以下のデメリットが発生します。

  1. 無効電力増大による設備利用率の低下
  2. 電流が大きくなり、電力損失の増加
  3. 電圧降下の増大

では力率改善のイメージがつかめるよう、イラストを見ていきましょう。

高圧進相コンデンサによる力率改善の原理について

電動機などの遅れ負荷によって、系統全体の皮相電力はS1まで遅れ側にベクトルが向いてしまいます。

この場合、電力として使用されない無効電力QL1はかなり大きい状態です。

そこで電力系統に進相コンデンサ、つまり進み無効電力QCを接続します。

するとベクトル図において、無効電力同士が相殺されるため、合算すると無効電力は無効電力QL2にまで削減され、最終的に皮相電力S2にまで改善されます。

このようなイメージで皮相電力は本来の位相側へと回復し、力率が改善されるということになります。

電力会社は進相コンデンサなどによる力率改善を重視しており、需要家は力率改善を行うことによって電気料金の割引を受けることも出来ます。

需要家側にとっても、進相コンデンサの導入はメリットになるんですね。

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直列リアクトルについて

進相コンデンサは力率改善にとって重要ですが、導入においては一つ注意が必要です。

電路に進相コンデンサを接続すると、電路の高調波成分が増大し、波形のひずみが大きくなってしまうのです。

これを解決するのが、冒頭で触れた直列リアクトルになります。

高圧進相コンデンサにおける直列リアクトルの働きについて

直列リアクトルは進相コンデンサに対し、直列に接続することで効力を発揮し、高調波に対して回路を誘導性にすることが出来ます。

高調波の外部への流出を抑制するだけでなく、突入電流の抑制も兼ねており、継電器(OCRなど)や変流器(CT)など計器の損傷も防止します。

ちなみに直列リアクトルは、ただ容量が大きいものを選べば良いというモノではなく、使用するコンデンサ容量の6%が原則です。

これは5次の高調波をピンポイントで対策するためであり、計算上は4%で良いですが、裕度を取って6%となっています。

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まとめ

  • 進相コンデンサは力率改善のために使用する高圧機器である。
  • コンデンサの進み力率よって、系統の遅れ力率を改善できる。
  • 進相コンデンサは必ず直列リアクトルと共に使用する。
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