概要
電磁流量計は、電磁誘導の法則によって流体の内部に誘起された電圧を検出することで、流量を測定する計装機器になります。
詳しい原理は次項で解説しますが、電磁流量計は導電性の液体であれば測定可能であり、従来までは5μS/m以下の低伝導率液体を測定できませんでした。
ただしさらに改良の重ねられた静電容量形電磁流量計であれば、純水を代表する低伝導率液体(0.01μS/m以上)を測定することが可能です。
電磁流量計の原理
では電磁流量計の原理について、イラストを参考に見ていきましょう。
電磁流量計は先に述べたようにファラデーの電磁誘導の法則を利用しています。
磁界中を液体が流れる時、電磁誘導によって発生する起電力が、流速に比例するという原理がファラデーの電磁誘導の法則です。
電磁流量計の検出部には、流量計本体から常に磁界が発せられています。
測定対象の導電性液体がこの磁界中を通過し、起電力が発生。その後、取り付けられた電極によって起電力を検出することで、液体の流速・体積流量を算出することが可能となります。
測定した体積流量は、その後統一信号4~20mA、流量積算用のパルス信号などを用いて制御盤内の調節計・記録計・PLCなどへと送信されます。
電磁流量計の特徴
電磁流量計はファラデーの電磁誘導の法則を用いているため、それぞれメリットとデメリットが存在します。
メリット
- 液体の粘度・温度・圧力・密度に左右されない。
- 圧力損失がなく、付着物が少ない。
- 可動部がないため、メンテナンス性良。
- レンジアビリティが比較的広く、さらに高精度。
これらは全て電磁誘導という機械的可動部を持たない測定原理を利用していることに起因します。また起電力を発生させることができれば良いため、少なくとも検出管中を導電性液体が通過することさえ出来れば良いんですね。
さらにレンジアビリティ(精度を保証する最大流量と最小流量の比)も比較的広く、また変更が可能であり、測定精度も高いという高性能ぶりです。
デメリット
- 導電性液体でなければ測定できない
起電力を測定対象物内で発生させる関係上、導電性液体でなければ測定不可能です。
概要で述べたように5μS/m以下の低伝導率液体は基本的に測定できません。
しかし静電容量形電磁流量計という、セラミックパイプと平行電極によって検出部が構成されているモデルであれば、液体中の起電力(電界)によって生じる電荷を電圧として検出可能です。
このモデルは0.01μS/mまでの導電率液体に対応しており、さらに電極が測定液体に接液しないため、スラリーノイズが発生しないという画期的なモノになります。
高価ではありますが、電磁式流量計の唯一の弱点をほぼ克服しており、使い勝手の良さはピカイチと言えるでしょう。
まとめ
- 電磁式流量計は電磁誘導の法則を用いた流量計である。
- 様々な利点があるが、5μS/m以下の導電性液体には使用できない。
- 静電容量形電磁流量計であれば、0.01μS/mまでの導電性液体に対応する。
参考文献・サイト
- 愛知時計電機株式会社『電磁流量計の原理と技術』https://www.aichitokei.co.jp/technicalinfo/techlist/20180329/7949/
- 株式会社キーエンス 流量計知識.COM『電磁式流量計』https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/electromagnetic.jsp
- 川村貞夫/石川洋次郎『工業計測と制御の基礎―メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎 第6版』工業技術社,2016年
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