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【計装回路】二線式伝送器の原理や役割について ~流量計・圧力計~

計装
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概要

プラントや工場では流量・圧力・温度などの様々な物理量を計測し、管理しています。

水や油、蒸気、その他化学薬品など測定対象物は様々です。

しかし多くの場合イラストのように、流量計や圧力計など計装機器の測定した値は、制御盤へと取り込まれます。 計装用アナログ回路の構成について

計装機器と制御盤間の回路構成においては、以下の点を押さえる必要があります。

  1. 計装機器本体への電源供給用の回路
  2. 測定信号を制御盤へ送る回路
  3. 上記を満たし、出来るだけ省配線であること

①計装機器自体が稼働するためには、当然電源が必要です。

②測定信号はDC4~20mAという定められた微小電流値で送受信することが多いのですが、それ用の回路も準備する必要があります。

③さらに上記条件を満たし省配線であることが、ケーブルの施工における工賃や手間を省くことにつながります。

これらの要件を満たすため、製造現場では二線式伝送方式というモノを多く用います。

これは伝送器電源と計装機器を組み合わせたものです。

ディストリビュータと現場機器で構成される計装用アナログ回路について

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二線式伝送方式

二線式伝送方式は分かりやすく言うと、「二本の電線によって電源供給回路・測定信号回路を賄う」というモノです。

電流信号から計装機器の駆動用電源を取ることにより、電源配線を省略した伝送方式であり、電線を複数束ねた一本のケーブルを敷設するだけで施工が完了します。工事や回路改造が非常に簡便になる優れた方式と言えます。

イラストのように計装機器と伝送器電源装置(ディストリビュータ)の間には、測定信号を電流量で表すDC4~20mAのループが出来ています。

この回路には伝送器電源装置によって、常にDC24Vの電源電圧が付加されています。この電源電圧によって計装機器は稼働することが出来るのです。(計装機器は多くの場合、13~15V程度を電源電圧として必要とします)

二線式伝送方式の原理について

つまり二線式伝送方式は、伝送器電源という計装機器用の電源供給機能を持つ機器(ディストリビュータなど)によって成立するのです。

もちろん計装機器側も、電源供給方式がこれに対応している必要があります。

タンクのレベル測定に使用する差圧発信器、配管を流れる液体用の流量計などは、この二線式伝送方式を採用しており、これを理解しておかなければ施工は出来ません。

※ちなみにディストリビュータは、エムシステム技研の二線式伝送器電源装置の商品名です。

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計装信号の扱いについて

レベル計や流量計といった計装機器は、二線式伝送方式と使用していることが分かりました。

次は測定信号、いわゆるアナログ信号の取り扱い方法についてイラストを参照しながら説明します。

計装機器側では様々な物理量を測定します。そしてそれらは様々な単位(圧力、%、mmなど)で表現されるため、これを直接制御盤に取り込むことはできません。

この物理量を計装機器はDC4~20mAという統一された電流量に変えて、盤側へと送り出します。

二線式伝送方式における数値の取り扱いについて

これにより盤側では直流信号の値さえ取り込めば良いことになり、扱いが楽になるのです。

その後、盤側で測定値を表示したい場合は、計装機器のレンジ設定を参考にして、再度正しく表示設定をすれば問題ありません。

例えばレベル計の信号の授受を例に挙げると

①レベル計がタンク内の液位を0~100%で測定、表示する。

②液位0~100%をDC4~20mAに変えて、制御盤へと送信する。

③制御盤側で調節計やPLCに信号を取り込み、DC4~20mAを0~100%とレンジ設定して再表示する。

といった順番で行われます。

ちなみに直流信号DC4~20mA以外にも直流電圧DC1~5Vなど他の方式もありますが、電圧の場合は配線による電圧降下が心配されます。

このため制御盤⇔計装機器間のように配線距離が長くなるケースでは、電圧降下の懸念がない直流信号が用いられます。

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まとめ

  • 現場の計装機器は様々な物理量を測定し、それを制御盤へと取り込んでいる。
  • 制御盤⇔計装機器間の回路には二線式伝送方式がよく利用される。
  • 計装回路ではDC4~20mAという統一された信号を用いるケースが多い。
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参考文献・サイト

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コメント

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  2. […] 【計装】計装回路について概要 プラントや工場では流量・圧力・温度など… […]

  3. たなやま より:

    プラント設計を行っている若手設計者です。
    本ブログをはじめて読ませていただきましたが、文章も絵もとても分かりやすいです。

    弊社には機器一つ一つの概要を分かりやすく説明した資料は無く、
    メーカ図面を見てもプラント全体のつながりが分からなかったのでとても参考になります。

    上司に質問するにしても、何を質問すればいいかも分からない状態でしたので。。。

    また、管理者様に何点か質問があります。可能でしたら、ご回答いただけると嬉しいです。
    ①ここでいうディストリビュータとは、AI/AOユニット、DI/DOユニットを指すのでしょうか。
    ②管理者様の体感として、二線式伝送方式は計装機器のうち何割くらいが対応しているのでしょうか。
     また、二線式伝送方式が対応していない計装機器はどのようなものがあるのでしょうか。
    ③二線式伝送方式が対応していない計装機器に対しては、どこから電源供給を行うのでしょうか。

    設計者の考え方次第。という内容もあるかと思いますが、その場合は管理者様の考えやこのような考え方がある。など教えていただければとてもありがたいです。

    長文となりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

    • plant_denkiman plant_denkiman より:

      閲覧、コメントありがとうございます。

      私の分かる範囲で私見となりますが、回答させていただきます。

      ➀AI/AOユニット、DI/DOユニットというのはおそらくPLCやDCSなどの入出力ユニットを指していると思いますので、たなやま様のおっしゃるモノとは違うと思います。
       ディストリビューターは計装機器への電源供給、加えて現場~制御盤間の絶縁(アイソレーターとしての機能)などを担っており、ついては他の記事で解説していますので詳しくはそちらをご参照願います。
       ただPLCのAi/Aoユニットにはディストリビューターのような伝送器電源機能を持つものもあるため、モノにもよればディストリビューターとも言えるかと思います。 

      ➁おおよそ体感だと半分程度は二線式伝送方式かと思います。
       対応していない機器としては、パルス信号(流量計などにおいて積算流量をカウントするための信号)を出力する機器や、静電容量式電磁流量計などある程度大きな電源の供給が必要な機器などが該当すると思います。前者はオーバルの容積式流量計、後者は横河電機の静電容量式電磁流量計などが例としてパッと思いつきますね。

      ➂一部➁と被りますが4~20mAの信号線とは別に、DC24VやAC100~240Vの電源ラインを別に用意する必要があります。他にオーバルの容積式流量計はバッテリー内蔵のタイプが存在します。

      設計の考え方ですが、こういった計装機器の設計・選定としては、まずプロセスに適した機器を選定するところからスタートするのが自然だと思います。液体の検出であれば、流量や液位を安定して長期にわたって計測し続けられるか、要求される精度に応え得るかという点にあたり、これはさすがにプロセスや液体の物理特性によって変わります。また保守やメンテがしやすいか、故障時に部品や新品の調達が容易か、事業所における採用実績なども加味することが重要です。そして機器が決定すれば、自然と回路も決まってくると思いますので、それに合わせることになると思います。

      以上、拙いですがご参考までに。

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