【低圧】インバータについて

低圧・制御・FA

概要

インバータとは交流を一度直流へと変換し、再度交流へと戻すことで周波数や電圧を可変出来る装置のことを指します。

基本的にモーターの回転数Ns(r/min)は、fを周波数(Hz)、Pを極数とすると

Ns = 120×f/P

という関係があり、周波数によって回転数をコントロールすることが可能です。

通常の動力回路は電磁開閉器を用いていますが、この場合だと商用電源が直接モーターへと供給されるため、50Hzないし60Hzという一定の周波数で稼働します。

※電磁開閉器について下記の記事を参照ください

【低圧】電磁開閉器について
概要 電磁開閉器(マグネット)はモーターなどの動力回路における、電路の開閉を担っている機器です。 イラストのように基本的には動力回路において、負荷の直近上位に設置されます。 継電器(リレー)などと同じで、電磁石の励磁を利用して...

これがインバータを介することで、10Hz、20Hz、30Hz……というように任意の周波数をモーターへと供給することが可能となり、回転数を操作できるようになるのです。

インバータの構成と役割について

ポンプファンなどの回転数を適切に制御することが出来れば、無駄な電力の使用をおさえることに繋がり、省エネを成すことが出来ます。

他に反応器に使用される撹拌機などは、内容物の化学反応を行う関係上、定められた回転数が反応工程毎に求められます。

こういった事情を解決するのが、インバータなんですね。

インバータの構成

前述のとおり電圧周波数を可変できるインバータですが、その内部構成についてイラストを見ていきましょう。

インバータの原理と本体構成について

コンバータ回路

入力された商用交流電源直流電流へと変換する部分になります。

この交流⇒直流への変換は「整流」とも言い、半導体素子(ダイオード)を用いることで、交流の周期的に変化する正弦波を整流します。

交流は周期的にが入れ替わります。一方ダイオードは順方向に電流を通し、逆方向には電流を通さない特性があり、交流の部分のみを通電します。さらにブリッジ回路という構成により、の電流の一部も順方向に流れるようにします。

このような工程を経ることで、かなり直流に近い波形が出来上がります。

コンデンサ

コンバータ部である程度直流になりますが、それでも完全な波形にはなりません。

そこでコンデンサによって充電放電を繰り返すことで、不完全な波形を整えます。

これは「大きなバケツで水を大量に何度も受け入れながらも、常に一定量だけは底から流す」というイメージを持ってもらえればいいかもしれません。

インバータ回路

インバータ回路は意図した電圧・周波数を持つ交流を出力します。

IGBTなどのパワートランジスタをスイッチングし、そのON/OFFの間隔を変えて、幅の異なるパルス波を作ります。

直流波形を細切れにすることで、全体を通して疑似的な交流とするイメージです。

この制御をパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)と呼称します。

 

かなり足早で説明しましたが、実際にはインバータが勝手に仕事をしてくれるので、仮に知らなくても使用すること自体は可能です。

ただこのあたりは電験三種で頻出している分野ですので、スキルアップを目指す電気屋としては避けて通れない運命にあるかもしれません。

インバータの特性

実際に使用するにあたって、インバータの出力特性を理解しておくことは非常に重要です。

先にこの項目で述べる内容をまとめたイラストを用意しました。以降の文章はこのイラストを参照しながら見ていきましょう。

インバータのトルクブーストと動作特性について

V/F制御

インバータは周波数と電圧を制御する装置であると述べましたが、この周波数と電圧は正比例するように制御されています。

これはモーターにとっては電圧と周波数が一定の状態であることが最適であるため、右肩上がりの直線特性になるのです。(例えば周波数が過剰に低いと、モーター巻線インピーダンスが低下し、過大な電流が流れてしまう)

このような電圧と周波数の正比例制御をV/F制御と呼びます。

電圧とトルクの関係

しかしV/F制御で難しいのが「モーターのトルクは電圧の二乗に比例する」という特性の存在です。

インバータで制御を行う場合、低回転領域(周波数が低い)ではV/F制御によって電圧も相応に低くなります。

すると今度はトルクが不足してしまい、モーターが上手く稼働できない場合があるのです。

これは試運転時には、ままあるトラブルだと思います。

トルクブースト

上記のような低回転領域でのトルク不足(電圧不足)を改善するのが、トルクブースト機能です。

これは低回転領域での電圧を底上げし、トルク不足を補うというもので、イメージとしてはイラストのように赤線青線へと特性が改善されます。

この機能はほとんどのインバータに備わっている機能で、負荷に合わせてパラメータの値を決める必要があります。

 

以上ですが、インバータに求められる出力特性は負荷ごとに異なるため、上記項目を理解して調整を行う事が必要です。

ちなみに近年ではベクトル制御と呼ばれる、さらに高度な制御方法も盛んに使用されています。

そちらについては別の記事で取り上げられたらと思います。

まとめ

  • インバータは電圧周波数を可変する装置である。
  • コンバータ回路、コンデンサ、インバータ回路で構成される。
  • インバータの特性を理解し、負荷に合わせた機能設定が必要。
  • V/F制御が一般的だが、近年ではベクトル制御と呼ばれる制御法も盛んである。

参考文献・サイト

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