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VCT(MOF)とは?電力量を計測する仕組みとCT・VTとの違い

高圧

キュービクルの単線結線図を見ると、受電点の近くに「VCT」や「MOF」と書かれた機器があります。

外観は小型の変圧器にも見えますが、施設で使用する100Vや200Vを作っている機器ではありません。

VCTは、6600Vの高電圧と高圧回路を流れる電流を、電力量計で扱える大きさへ変換するための機器です。

本記事では、VCTの役割、内部構造、電力量を計測する流れ、CT・VTとの違い、種類、取り扱い上の注意点について、実物に近い図を使いながら解説します。

この記事で分かること

  • VCTとMOFが何をする機器なのか
  • 高圧受電設備のどこに設置されるのか
  • 内部のCTとVTが担う役割
  • 電力量計が使用電力量を計測するまでの流れ
  • CT、VT、VCTの違い
  • 点検や取り扱いで注意すること

6600Vの高圧受電回路でVCTが電圧と電流を変換し電力量計へ信号を送る流れ
VCTは受電点付近で高電圧と大電流を計測用信号へ変換し、電力量計へ送る
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VCT(MOF)とは

VCTとは、電力需給用計器用変圧変流器です。

英語ではVoltage and Current Transformerと表記され、電圧を変換するVTと、電流を変換するCTを一つの外箱へまとめた計器用変成器になります。

現場では、MOF(Metering Outfit)や「モフ」と呼ばれることもあります。

呼び方はいくつかありますが、この記事では電力需給用の計器用変圧変流器をVCTと表記します。

ここで重要なのは、VCTは負荷へ電力を供給する変圧器ではないという点です。

ようは、高圧回路の電圧と電流を安全に取り出し、取引用電力量計で測定できる信号へ変える機器がVCTになります。

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VCTが設置される場所

VCTは、電力会社から受電した電気の使用量を計測するため、受電点に近い位置へ設置されます。

一般的な構成を簡略化すると、次のような順番になります。

電力会社の配電線 → PASまたはUGS → VCT → 主遮断装置 → 変圧器・負荷

VCTの二次側には、変成器付電力量計が接続されます。

ただし、受電方式、地域、電力会社との協議内容、設備構成によって、実際の配置や結線は異なります。

実設備では、単線結線図、機器銘板、電力会社の供給条件を確認してください。

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VCTの内部構造

VCTの内部には、主にVTとCTが収納されています。

6.6kV用の代表的なモールド形VCTでは、エポキシ樹脂でモールドしたVT・CTを金属製の外箱へ収納し、一次側口出線と二次端子箱を備えています。

イラストのように、外観は負荷用変圧器よりもコンパクトです。電圧階級や絶縁方式によって外形は異なるため、碍管が立った油入形と6.6kVモールド形を混同しないようにしましょう。

6kVモールド形VCTの外箱、一次側口出線、二次端子箱と内部のVT・CT要素を示した構造図
6kVモールド形VCTは、モールドされたVT要素とCT要素を一つの外箱へ収納している

VT:電圧を変成する部分

VTは、Voltage Transformerの略で、計器用変圧器と呼ばれます。

高圧回路の電圧を、電力量計や計測機器で扱える低い電圧へ変成します。

6.6kV用VCTでは、一次側6600V、二次側110Vの製品が代表例としてあります。

VTは電圧を測定するため、主回路に対して並列に接続される要素です。

CT:電流を変成する部分

CTは、Current Transformerの略で、変流器と呼ばれます。

高圧回路を流れる大きな電流を、電力量計で扱える小さな電流へ変成します。

例えば、銘板に「100/5A」と書かれている場合、一次側100Aに対して二次側5Aとなる変流比を表します。

CTは回路電流を測定するため、主回路に対して直列に入る要素です。

二次端子箱

VTとCTで変成された信号は、VCTの二次端子箱から電力量計へ送られます。

端子箱や計量回路には、取引用計量の正確性を保つため封印が施される場合があります。

需要家が通常の設備操作として開放したり、結線を変更したりする部分ではありません。

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電力量を計測する流れ

VCTと電力量計は、次の流れで使用電力量を計測します。

①高圧回路の電圧と電流を取り込む

高圧受電設備へ6600Vが加わり、負荷の使用量に応じた電流がVCTを通過します。

②VTとCTが計測用信号へ変成する

VTが電圧を、CTが電流を、それぞれ電力量計で扱える大きさへ変成します。

③電力量計へ電圧・電流信号を送る

変成された電圧信号と電流信号は、VCTの二次端子から電力量計へ入力されます。

④電力量計が使用電力量を積算する

電力量計は電圧、電流、位相関係をもとに電力を求め、それを時間で積算して使用電力量を記録します。

VCTが6600Vと高圧回路電流を110Vと5Aの計測信号へ変換して電力量計へ送る流れ
VCTで変成した電圧・電流信号を電力量計へ入力し、使用電力量を積算する

つまり、VCTだけで電力量を表示しているわけではありません。

VCTが測定しやすい信号を作り、電力量計がその信号から使用電力量を求めるという役割分担です。

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CT・VT・VCTの違い

CT、VT、VCTは名前が似ていますが、測定する対象と構成が異なります。

CTとVTとVCTの測定対象、接続方法、出力先を比較した図
CTは電流、VTは電圧、VCTは電圧と電流の両方を電力量計へ渡す
機器 主な役割 回路との関係 主な接続先
CT 大電流を小電流へ変成 主回路へ直列 電流計、電力計、保護継電器
VT 高電圧を低電圧へ変成 主回路へ並列 電圧計、電力計、保護継電器
VCT 電圧と電流をまとめて変成 内部にVTとCTを収納 主に取引用電力量計

VCTは、単体のCTやVTをただ隣に置いたものではありません。

電力取引用として必要な確度や組み合わせを考慮し、一体の計器用変成器として構成されています。

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VCTの種類

VCTは、絶縁方式や設置場所によって種類が分かれます。

油入形VCT

絶縁油を使って内部を絶縁する方式です。屋外用6.6kV設備などで使用され、金属製タンクと複数の碍管を持つ外観が代表的です。

モールド形VCT

エポキシ樹脂などでVT・CT要素を固体絶縁し、金属製の外箱へ収納する方式です。6.6kV用では、一次側口出線と二次端子箱を備えたコンパクトな製品があります。この記事の主要な画像は、この6.6kVモールド形を基準にしています。

ガス絶縁形VCT

絶縁ガスを使用する方式です。GISと組み合わせる特別高圧設備などで用いられます。

同じVCTでも、電圧階級、一次電流、確度階級、定格負担、屋内外区分などが異なります。

VCTは外観だけで選定せず、電力会社との協議内容と製品仕様を確認する必要があります。

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計量法に基づく検定

VCTと電力量計は、電気料金などの取引に使用されます。

資源エネルギー庁によると、取引や証明に使用する電力量計は、計量法に基づく検定証印または基準適合証印があり、有効期間内のものを使用する必要があります。

変成器付計器では、電力量計と組み合わせる計器用変成器も計量の正確性に関わります。

そのため、VCTや取引用電力量計は、一般の指示計器とは異なる管理が行われます。

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取り扱い上の注意点

VCT内部にはCTとVTがあるため、それぞれの二次回路に特有の注意点があります。

CT二次側の開放禁止とVT二次側の短絡禁止を示した安全上の注意図
CT二次側は開放せず、VT二次側は短絡しないことが重要

CTの二次側を開放しない

一次電流が流れている状態でCTの二次側を開放すると、二次側に高電圧が発生するおそれがあります。

CT二次回路は、通電中に開放してはいけません。

VTの二次側を短絡しない

VTの二次側を短絡すると、二次巻線へ過大な電流が流れ、焼損や絶縁破壊につながるおそれがあります。

VT二次回路は、短絡または低インピーダンス状態にしてはいけません。

封印や二次配線へ不用意に触れない

取引用計量回路の封印を外したり、結線を変更したりすると、正しい計量ができなくなる可能性があります。

点検、試験、交換は、電気主任技術者、電気保安法人、電力会社、専門業者などの管理のもとで行います。

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点検で確認するポイント

日常点検や定期点検では、設備条件に応じて次の項目を確認します。

  • 油入形VCTの油漏れ、膨らみ、著しい腐食
  • 碍管やモールド部のひび、欠け、汚損
  • 異音、異臭、異常な温度上昇
  • 端子部や接地線の異常
  • 銘板、封印、検定関係表示の状態
  • 単線結線図と実設備の整合

高圧充電部へ接近する点検や電気的試験は、停電措置、検電、接地などの安全手順を含め、専門家が実施します。

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VCTを一言でいうと

VCTを一言でいうと、高圧回路の電圧と電流を、取引用電力量計が扱える信号へまとめて変成する機器です。

外観が変圧器に似ていても、施設の負荷へ電力を供給しているわけではありません。

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まとめ

  • VCTは、VTとCTを一つの外箱へまとめた電力需給用の計器用変成器である。
  • 現場ではMOFと呼ばれることもある。
  • VTが電圧、CTが電流を変成し、電力量計へ信号を送る。
  • VCTは負荷へ100Vや200Vを供給する変圧器ではない。
  • 取引用計量に使うため、検定、封印、交換などが適切に管理される。
  • CT二次側の開放とVT二次側の短絡は、事故につながるため禁止される。

以上が、VCTの役割と、電力量を計測する基本的な仕組みになります。

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参考文献・サイト

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