スポンサーリンク

〖入門〗IO-Linkとは?センサとPLCをつなぐ仕組みを図解

低圧・制御・FA

IO-Linkという言葉を聞いたことはあるでしょうか。

工場の自動化設備では、近接センサ、光電センサ、圧力センサ、温度センサなど、多くのセンサが使われています。

従来のセンサは、ONかOFFか、あるいは4-20mAなどの測定信号をPLCへ送ることが主な役割でした。

しかし実際のセンサは、測定値以外にも、設定値、機器形式、異常、汚れ、受光量、稼働時間など、さまざまな情報を持っています。

そこで登場するのが、IO-Linkです。

IO-Linkを使うと、センサやアクチュエータと双方向に通信し、測定値だけでなく、設定情報や診断情報もPLC側から扱えるようになります。

本記事では、IO-Linkの基本的な役割、システム構成、通信するデータの種類、IODD、従来のI/Oとの違い、現場で導入するときの注意点について、イラストを交えながら解説します。

この記事で分かること

  • IO-Linkとは何か
  • IO-LinkマスタとIO-Linkデバイスの役割
  • 従来のデジタルI/Oとの違い
  • プロセスデータ、機器データ、イベントの違い
  • IODDと設定バックアップの仕組み
  • 現場で導入するときの注意点

複数のセンサをIO-Linkマスタを通してPLCや上位システムへ接続する全体像
IO-LinkはセンサやアクチュエータとPLCの間に入り、現場機器の情報を双方向にやり取りする
スポンサーリンク

IO-Linkとは

IO-Linkとは、センサやアクチュエータをコントローラへ接続するための、デジタル式の双方向通信技術です。

IEC 61131-9として国際標準化されており、メーカーを問わず、IO-Linkに対応した機器を共通の考え方で接続できます。

ここで重要なのは、IO-Linkはフィールドバスそのものではないという点です。

IO-Linkマスタと、それぞれのセンサやアクチュエータは、1ポートにつき1台を接続するポイント・ツー・ポイント方式になっています。

IO-Linkマスタより上位側は、EtherNet/IP、EtherCAT、PROFINET、CC-Link IEなど、設備で使用している産業用ネットワークへ接続します。

ようは、従来はON/OFF信号しか見えなかったセンサを、PLCから会話できる機器に変える仕組みと考えると分かりやすいです。

スポンサーリンク

IO-Linkが必要になる理由

一般的なデジタルセンサでは、PLCが受け取れる情報はONかOFFです。

例えば、光電センサがONしていればワークを検出したことは分かります。しかし、受光量が少なくなっている、レンズが汚れている、設定値に余裕がない、といった内部状態までは分かりません。

そのため、設備が止まってから現場でセンサを確認し、表示値や設定状態を一つずつ調べることがあります。

また、故障したセンサを交換したあと、感度やしきい値を人が再設定する場合、設定間違いや調整時間が発生します。

IO-Linkを使うと、次のような情報をPLCや設定ツールから扱えるようになります。

  • ON/OFF状態や測定値
  • しきい値、感度、動作モードなどの設定値
  • メーカー名、機器形式、シリアル番号
  • 汚れ、過熱、短絡、断線などの診断情報
  • 稼働時間やメンテナンス情報

これにより、立ち上げ、品種切替え、故障調査、機器交換を効率化しやすくなります。

スポンサーリンク

IO-Linkのシステム構成

IO-Linkの基本構成は、以下の4つに分けると理解しやすいです。

  • IO-Linkデバイス
  • IO-Linkマスタ
  • PLCまたはコントローラ
  • 設定ツールとIODD

IO-Linkマスタの実際の形

IO-Linkマスタには、制御盤の中へ取り付けるユニット型と、機械の近くへ設置する盤外型があります。

盤内ユニット型は、DINレールへ取り付ける小型機器で、端子台、表示部、操作ボタン、上位ネットワーク用コネクタなどを備えています。

盤外型は、切削液や粉じんがある機械周辺でも使えるように、保護構造を高めた金属または樹脂の筐体になっています。前面にはM12ソケットが並び、センサやアクチュエータのケーブルを直接接続します。

製品によって形、ポート数、上位ネットワーク、電源方式は異なりますが、センサ側の複数の配線をまとめて、PLC側のネットワークへ渡すという役割は共通です。

盤内ユニット型と盤外現場設置型のIO-Linkマスタの外観比較
IO-Linkマスタには盤内ユニット型とM12ポートを備えた現場設置型がある

IO-Linkデバイス

IO-Linkデバイスとは、IO-Link通信に対応したセンサやアクチュエータです。

近接センサ、光電センサ、圧力センサ、温度センサ、流量センサ、電磁弁マニホールド、表示灯など、さまざまな機器があります。

デバイスは、現在値やON/OFF状態を送るだけでなく、PLCや設定ツールから送られたパラメータを受け取ることもできます。

IO-Linkマスタ

IO-Linkマスタは、複数のIO-LinkデバイスをまとめてPLCへ接続する中継機器です。

マスタには複数のポートがあり、それぞれのポートにIO-Linkデバイスを1台ずつ接続します。

マスタはデバイスとIO-Link通信を行い、上位側ではEtherNet/IPやEtherCATなどのネットワークを使ってPLCとデータをやり取りします。

つまり、IO-Linkマスタは、センサ側のIO-Link通信と、PLC側の産業用ネットワークを橋渡しする機器です。

IO-Linkマスタの各ポートとセンサを1対1で接続するポイントツーポイント配線
IO-Linkはマスタの各ポートとデバイスを1対1で接続する
スポンサーリンク

IO-Linkの配線

IO-Linkは、一般的なセンサ配線で使われてきた3線式接続を基本としています。

  • L+:DC24V電源
  • L-:0V
  • C/Q:スイッチング信号またはIO-Link通信

C/Q線は、通常のデジタル信号とIO-Link通信の両方に使用されます。

IO-Link対応機器の中には、通常のデジタルセンサとして使うSIOモードと、IO-Link通信を行うIO-Linkモードを切り替えられるものがあります。

また、IO-Linkの公式システム説明では、デバイスとマスタの接続に非シールドの3芯または5芯標準ケーブルを使用し、ケーブル長は最大20mとされています。

ただし、実際の配線では、使用するマスタ、デバイス、コネクタ、電源容量、周囲環境の仕様を確認する必要があります。

特に消費電流が大きいアクチュエータでは、追加電源を使うPort Class Bや、デバイスごとの電源条件を確認します。

スポンサーリンク

IO-Linkで通信するデータ

IO-Linkでは、単にセンサの現在値だけを送るわけではありません。

公式のシステム説明では、主に次のデータが扱われます。

プロセスデータ

プロセスデータは、設備の制御に使う現在値や状態です。

例えば、センサのON/OFF状態、圧力、温度、流量、距離、バルブの動作状態などです。

プロセスデータは周期的に通信されるため、PLCプログラムから通常の入力データとして使用できます。

機器データ・パラメータ

機器データには、しきい値、感度、フィルタ時間、動作モード、メーカー名、機器形式などが含まれます。

これらは必要なときに読み書きする非周期データです。

例えば品種切替え時に、PLCからセンサのしきい値を変更するといった使い方ができます。

イベント・診断情報

イベントは、デバイスが異常や注意状態をマスタへ知らせるための情報です。

短絡、過熱、通信異常、断線、汚れ、メンテナンス時期などが該当します。

従来は設備停止後に現場へ行かなければ分からなかった状態を、PLCやHMI側で確認できる可能性があります。

IO-Linkが扱うプロセスデータ、パラメータ、イベントの違い
IO-Linkでは制御用の現在値に加えて、設定値や診断情報も扱う
スポンサーリンク

IODDとは

IO-Linkを理解するうえで、IODDも重要な用語です。

IODDとは、IO Device Descriptionの略で、IO-Linkデバイスの情報を記述した機器説明ファイルです。

IODDには、一般に次のような情報が含まれます。

  • メーカー名と機器形式
  • プロセスデータの並びと意味
  • 設定できるパラメータ
  • 診断・イベントコード
  • 表示用の名称、単位、画像

設定ツールへIODDを読み込むと、単なるデータ番号ではなく、項目名や選択肢を確認しながらデバイスを設定できます。

ようは、IODDは設定ツールがIO-Linkデバイスの中身を理解するための取扱説明書です。

スポンサーリンク

センサ交換時の設定復元

IO-Linkの代表的な利点の一つが、デバイス設定のバックアップと復元です。

対応するIO-Linkマスタでは、接続されたデバイスのパラメータを保存できます。

故障したセンサを同じ形式の新品へ交換したとき、保存していたパラメータをマスタから新しいセンサへ転送できます。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. IO-Linkマスタが接続されたデバイスを識別する
  2. デバイスの設定値をマスタ側に保存する
  3. 故障したデバイスを同じ形式の新品へ交換する
  4. マスタが交換後のデバイスを確認する
  5. 保存していた設定値を新しいデバイスへ転送する

これにより、人が小さな表示器を見ながら設定を入れ直す作業を減らせます。

ただし、バックアップ・リストア機能の名称、対応条件、動作タイミングはマスタによって異なります。実際の設計では、マスタとデバイスの取扱説明書を確認してください。

IODDを使った設定とIO-Linkセンサ交換時のパラメータ復元手順
IODDで機器情報を理解し、保存したパラメータを交換後のデバイスへ復元する
スポンサーリンク

従来のデジタルI/Oとの違い

項目 従来のデジタルI/O IO-Link
主な情報 ON/OFF 現在値、状態、設定、診断
通信方向 センサからPLCが中心 双方向
設定変更 現場で手動設定 PLCや設定ツールから変更可能
診断 ON/OFFだけでは原因が分かりにくい 異常や機器状態を取得可能
交換後の復旧 再設定が必要 対応構成では設定復元が可能

従来のデジタルI/OとIO-Linkの違いおよび導入時の確認ポイント
IO-Linkでは情報量が増える一方、データ割付けや保全方法まで設計する必要がある
スポンサーリンク

IO-Linkを導入するときの注意点

IO-Linkは便利ですが、対応機器へ交換するだけで設備保全が自動化されるわけではありません。

上位ネットワークとの接続を確認する

IO-Linkマスタには、EtherNet/IP、EtherCAT、PROFINETなど、上位側のネットワークごとに異なる製品があります。

既設PLCが使用しているネットワーク、対応ユニット、エンジニアリングツールを確認して選定します。

プロセスデータの割付けを確認する

IO-Linkデバイスごとに、プロセスデータの長さやビット配置は異なります。

どのビットが検出状態で、どのバイトが測定値なのかをIODDや取扱説明書で確認し、PLC側の変数へ正しく割り付けます。

交換条件を決めておく

設定復元を使う場合は、同一形式を条件にするのか、機器IDをどこまで照合するのか、誰が設定変更を許可するのかを決めます。

設定を自動復元できても、センサの取付位置、検出距離、光軸、配管条件などの機械的な調整まで不要になるとは限りません。

必要な情報を選ぶ

取得できるデータが増えると、PLCプログラム、HMI画面、アラームも増えやすくなります。

すべての情報を表示するのではなく、運転、故障調査、予防保全に必要な情報を選んで使うことが重要です。

安全用途は別に確認する

通常のIO-Link通信を、そのまま非常停止や安全扉などの安全機能へ使用できるとは限りません。

機能安全が必要な回路は、安全規格、IO-Link Safetyへの対応、安全PLCや安全リレーを含めて、設備全体として設計する必要があります。

スポンサーリンク

IO-Linkを一言でいうと

IO-Linkを一言でいうと、センサやアクチュエータの測定値、設定、診断情報をPLCと双方向にやり取りするための標準通信技術です。

従来のデジタルI/OではON/OFFしか分からなかった機器から、より多くの情報を取り出せるようになります。

また、PLCや設定ツールからパラメータを変更したり、対応する構成では交換後のデバイスへ設定を復元したりできます。

ただし、IO-Linkは上位のフィールドネットワークを置き換えるものではありません。

センサとIO-Linkマスタを1対1でつなぎ、マスタから上位のPLCへEtherNet/IPやEtherCATなどで接続する、という役割分担で考えると分かりやすいです。

スポンサーリンク

まとめ

  • IO-Linkは、センサやアクチュエータと双方向に通信するための国際標準技術である。
  • IO-Linkマスタの各ポートとデバイスは、1対1で接続する。
  • 現在値だけでなく、設定値、機器情報、診断イベントも扱える。
  • IODDは、設定ツールがデバイスのデータやパラメータを理解するための機器説明ファイルである。
  • 対応する構成では、交換後のデバイスへ保存した設定を復元できる。
  • 導入時は、上位ネットワーク、データ割付け、交換条件、安全用途を確認する。

以上が、IO-Linkの基本的な仕組みになります。

スポンサーリンク

参考文献・サイト

タイトルとURLをコピーしました