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【限流ヒューズ】記号や特性、選定について ~限流と非限流の違いとは?~

高圧
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限流ヒューズとは

まず大枠として電力ヒューズというものがあり、これは短絡や過電流などの定格以上の電流から回路を保護するための部品です。主に電力回路(高圧)で利用されるモノを指します。

定格以上の電流が流れた場合、エレメントが溶断することで電流を遮断します。

そして電力ヒューズはその消弧方式によって、限流形もしくは非限流形に大別され、LBS(高圧交流負荷開閉器)などと組み合わされる場合が多く、主に限流形が使用されています。

※LBSについては以下の記事をご参照ください。

【高圧交流負荷開閉器(LBS)】原理や特徴について ~構造・操作方法まで~
概要 LBSはLoad Break Switchの略で高圧交流負荷開閉器と呼ばれ、変圧器やコンデンサなどの高圧機器や電路の入・切のために使用される開閉器です。 需要家側の受電所やキュービクル内に導入されており、一般的には変圧器の直近...

限流ヒューズの役割と種類について

電力ヒューズ(限流ヒューズ)は用途によって、以下四つに分類されます。

G(一般用)

JISにおいては特に規定なし。どのような負荷にも利用できる標準的なヒューズだが、励磁突入電流や始動電流、突入電流に対する特定の耐量は持ち合わせていません。

T(変圧器用)

JISにおいて「定格電流の10倍の電流を0.1秒間通電し、これを100回繰り返しても溶断しないこと」と定められており、変圧器への電圧印加時に発生する励磁突入電流に対応したヒューズです。

M(電動機用)

JISにおいて「定格電流の5倍の電流を10秒間通電し、これを10000回繰り返しても溶断しないこと」と定められており、電動機への電圧印加時に発生する始動電流に対応したヒューズです。

C(コンデンサ用)

JISにおいて「定格電流の70倍の電流を0.002秒間通電し、これを100回繰り返しても溶断しないこと」と定められており、コンデンサへの電圧印加時に発生する突入電流に対応したヒューズです。

 

各負荷の投入時に、ヒューズが溶断や損傷をしては意味がないため、負荷ごとに適切なタイプを選ぶ必要があるということですね。

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限流とは

限流ヒューズは電力ヒューズの一種であると述べましたが、具体的にどういうものなのか見ていきましょう。

以下は三菱電機「配電制御機器技術講座」より引用させて頂きます。

限流形

アーク電圧を高めることにより短絡電流を限流抑制して遮断を行なうヒューズを限流(形)ヒューズという。

非限流形

アークに消弧ガスを吹き付け,電流零点の極間絶縁耐力を再起電圧以上に高めて遮断を行なうヒューズを非限流(形)ヒューズという。

例えば真空遮断器なども短絡電流を遮断できますが、これは電圧波形として3~5サイクル程度の時間を要するため、その間の大電流によって機器と回路に負担がかかります。

対して限流ヒューズの場合、アーク抵抗によって最初の半波で遮断し、電流波高値を低くすることが可能です。

(※波高値とは「交流の波形における振幅の最高値」を指します。)

このように短絡電流が波高値になるのを防ぎ、短時間で遮断することを「限流」と呼びます。

この特性は遮断器にはない限流ヒューズ特有の性質であり、電流値の抑制と短時間遮断を可能にするため、機器やケーブルが受けるダメージを減らすことに効果的です。

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限流ヒューズの特性

保護協調を考える際、限流ヒューズが「どのアンペア値で、どれほどの時間をおいて回路を遮断するか」は大変重要になります。

(※保護協調とは事故が発生した場合、事故回路の遮断器やヒューズのみが動作し、ほかの健全回路には給電を継続するよう、保護器具の動作特性曲線を調整すること)

以下のイラストを見てみましょう。

限流ヒューズの動作特性について

限流ヒューズには許容特性溶断特性動作特性の三種類の特性が存在します。

許容特性

限流ヒューズに電流が流れても、性能に劣化が生じない特性です。

この特性曲線以下の電流であれば、エレメントの劣化は起きないため、通常流れる電流はこの特性以下でなければならないという事になります。

溶断特性

限流ヒューズに電流が流れ、ヒューズが溶断するまでの特性です。

もしこの特性曲線にクロスするような電流が流れたのなら、エレメントの溶断・劣化が多少なりとも起こっていると考えられるため、本来の性能がその後は出せない可能性があります。

動作特性

限流ヒューズに電流が流れ、アークが消弧するまでの特性です。

エレメントが溶断しても、完全にアークが消失するまでには更に時間がかかるため、その特性を表しているんですね。

 

以上が限流ヒューズの解説になります。

限流ヒューズは「真空遮断器・過電流継電器・変流器の三つの機能を併せ持つ」とも考えられるため、受電設備の小型・低コスト化に貢献できる優れものと言えるでしょう。

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まとめ

  • 電力ヒューズには限流形、非限流形があり、限流ヒューズが主に使用される。
  • 限流ヒューズは負荷毎にG・T・M・Cというタイプが存在する。
  • 限流ヒューズの特性は、許容特性・溶断特性・動作特性の三つである。
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参考文献・サイト

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