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【HART通信】通信原理・規格・メリットについて ~DDファイルの意味~

低圧・制御・FA
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概要

HART通信とはHighway Addressable Remote Tranducerの略で、米国のRosemount社が提唱した通信規格です。

現場機器と制御機器、もしくは制御システム間の4~20mAのアナログ信号線にディジタル通信信号を重畳し、現場機器と制御システムやHARTコミュニケータ(HART通信専用の端末)間で各種情報を交換することが出来ます。

少々言葉にすると難解なので、下のイラストを参考してもらえると良いかと思います。

ついでに下記記事も参考にすると、理解が捗るかもしれません。

【計装回路】二線式伝送器の原理や役割について ~流量計・圧力計~
概要 プラントや工場では流量・圧力・温度などの様々な物理量を計測し、管理しています。 水や油、蒸気、その他化学薬品など測定対象物は様々です。 しかし多くの場合イラストのように、流量計や圧力計など計装機器の測定した値は、制御盤へ...

HART通信の構成と働きについて

通常現場の計装機器は、ディストリビュータなど伝送器電源を持つ機器と二線で接続されています。

電源供給4~20mAの信号授受をこの二線で同時に行っているのですが、HART通信はさらにディジタル信号通信まで一緒にやってしまおう、というモノだと考えてもらえれば良いです。

イラストの構成だと、HART対応ソフトをインストールしたノートパソコンが、HART通信を利用して現場機器の測定値や内部パラメータなどの設定値を得ることが出来ます。

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HART通信の原理

先に述べたようにHART通信は、ディジタル信号を4~20mAのアナログ信号に重畳させることで成しえています。

これも理解しやすいよう、イラストを参照しましょう。

HART通信の通信原理について

4~20mAのアナログ信号は直流の直線信号で、対してディジタル信号は0と1を繰り返す周波数信号となり、重畳させると図のようなイメージになります。

ノートパソコンやHARTコミュニケータ、そしてHART対応計装機器では、周波数信号を取り出し、元のデジタル信号を再生することで通信が出来ます。

同様に送信する際は、原デジタル信号を周波数信号として重畳することで送信完了となるのです。

このようにHART通信を行う二線式伝送経路では、

  • DC4~20mAのアナログ信号
  • 0、1情報を示す周波数信号

この二つが内包されているということになります。

二線式伝送方式は計器電源として回路にDC24Vもかかっており、これも合わせると同時に三つもの役割が回路に付加されていることになります。(すごいですよね!)

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DDファイルについて

HART通信は実際に利用を開始する前に、DD(Device Descripution)ファイルと呼ばれるファイルデータを入手しておく必要があります。

HART通信はメーカーの垣根を超えた通信規格と今やなっていますが、その自由度故に接続先の機器についてのデータをあらかじめ持っておく必要があるのです。

各社メーカーのHP等からDDファイルを入手し、パソコンかHARTコミュニケータにインストールしておきましょう。

HART通信におけるDDファイルの役割について

ちょっと面倒とも思えますが、この手間だけでHART通信対応機器ならほぼ全てカバーできるため、キチンと用意しましょう。

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HART通信のメリット

準備が完了すれば、あとは実際に接続するだけです。

HART通信は業界に広く普及しただけあって、数多くのメリットが存在します。

  1. HART対応機器であれば、メーカーに依存しない(DDファイル必要)
  2. ループテストが簡易的に実施可能
  3. 機器情報、内部パラメータを変更・バックアップできる。

①HART対応機器であれば、メーカーに依存しない

これは先に説明したように、HART対応機器であれば、DDファイルをインストールさえすればどこのメーカーでも基本的に通信が可能です。

事業所で計装機器を購入する際、とりあえずHART対応仕様にしておけば問題ないのはユーザーとしてはかなりのメリットとなります。

各社メーカー独自の通信規格では、機器やソフトを別途に用意・使用したり、そのための教育をしたりと何かと面倒だと思いますので。

②ループテストが簡易的に実施可能

HART通信を使用すれば、計装機器~制御盤間のループテストが簡単に一人で行う事が可能です。

通常は盤側と計装機器側に一人ずつ配置し、計装機器本体から模擬出力(シミュレーション機能)を行い、4~20mAのループが問題ないかテストを行うと思います。

HART通信は盤側から計装機器を遠隔操作し、本体から模擬出力を出力させるため、一人でループテストが可能となります。試運転時の省力化が出来るんですね。

③機器情報、内部パラメータを変更・バックアップできる。

HART通信は機器本体と通信することから、本体に格納された情報のバックアップが容易です。

Tag番号、レンジ設定、機器保全情報、導入年月日などの情報を一々メモすることが不要で、読み出せばさらにCSVやhtml形式で保存も可能です。

更新を行う際も、正確な情報を得ることが出来るため便利です。データでバックアップすることから、同機種であればデータ書き込み操作でセットアップも可能で、同じ条件なら複数台を一気にセットアップ出来ます。

ちなみに稼働中のパラメータ変更も行えるため、高所や閉所にある機器も簡単に調整できます。

というように保全において一役も二役も買う、大変便利なシロモノと言えます。

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まとめ

  • HART通信は現場機器とHART端末間で各種情報を交換できる。
  • HART通信は4~20mAのアナログ信号にディジタル信号を重畳し、通信を行う。
  • DDファイルをあらかじめ用意することで、HART通信は可能となる(対応機器のみ)。
  • HART通信は試運転・保全において複数のメリットがある。
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参考文献・サイト

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