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【気中負荷開閉器】PASの構造およびSOG動作について ~波及事故を防ぐメカニズム~

高圧
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PASとは

PAS(気中負荷開閉器)はPole mounted Air Insulatated Switchの略で、事業場と電力会社の責任分界点の直近に設置する保護装置を指します。

大枠としては区分開閉器に分類され、内部の絶縁消弧材料、設置が地上か柱上かで名称が変わります。PASの場合は空気を絶縁消弧材料に使用し、柱上に設置されることから気中負荷開閉器と呼ばれます。

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PASの役割

PASは事業場内で起きた電気事故(短絡・地絡など)による波及事故を防ぐために設置されます。

(※波及事故とは電力会社の配電線を停止させ、第三者の電気設備を停電させる事故のこと。)

これを成すため、短絡・過電流事故時はSO動作地絡時はG動作という保護機能を持っており、この二種類の機能を合わせてSOG動作と呼称します。

PAS(気中負荷開閉器)について

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SO動作

SO(Strage Over current)動作は事業場内での短絡・過電流事故時に作動するPASの保護機能です。

イラストに沿って順に説明します。

①事業場内で短絡もしくは過電流が発生した場合、PASはこれを本体内部の変流器(CT)が検知し、開閉器が動作しないよう自動的にロックします。

これはPASが短絡電流のような大電流を遮断できないことが関係します。もし手動やその他の要因で開閉器を開こうとした場合、消弧能力を超えた過大電流によりPAS本体が焼損し、電気火災事故に発展する恐れがあります。

PASのSO動作 動作ロック

②電力会社側の遮断器が作動し、短絡電流を一時遮断する。

大電流を遮断可能な電力会社側のCBが動作し、これにより送電網が一時停電します。

PASのSO動作 電力会社側の遮断器開放

  ③PASが系統の停電を検知し、自動的に開閉器を開放する。

PASは大電流を遮断できませんので、無電圧状態にしてから安全に開閉器を動作させます。

PASのSO動作 本体の開放動作

 ④電力会社側の遮断器が自動的に再閉路する。

③で事故を起こした事業場の系統がPASによって切り離されたため、電力会社側からの電力供給を再度行います。この順番であれば遮断が難しい過大な電流であっても、事故系統を安全に切り離せます。

PASのSO動作 電力会社側の遮断器投入

上記イラストの順番で再閉路までが上手く行った場合、配電線は一時的に停電はしますが、波及事故としては扱われません。

このようにSO動作とは、短絡電流の開閉を電力会社側のCBに任せ、PAS本体は安全に事故系統を切り離すという機能になります。

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G動作

G(Ground)動作は事業場内での地絡発生時に、電力会社側の地絡継電器よりも早く動作し、開閉器を開放させる動作のことを指します。

イラストに沿って順に説明します。

 ①PASが本体内蔵の零相変流器(ZCT)により、構内で起こった地絡事故を検知。

零相変流器(ZCT)は漏電遮断器にも内蔵されている「漏洩電流を検知できる装置」です。

電流は基本的に行きと帰りで同様の電流が流れますが、漏洩電流が発生するとこの均衡が崩れます。

零相変流器はRST三相を一括してクランプし、三相のバランスの崩れを知ることで、地絡事故の発生を検知します。

PASのG動作 地絡を検出

②PASの開閉器が開放し、場内への電力供給がストップする。

地絡事故時は負荷電流しか流れていませんので、PASの消弧能力で開閉が可能です。よって地絡を検知し、PASが開放されるだけで事故系統を配電網から切り離すことができます。

PASのG動作 本体の開放動作

このようにG動作はPAS本体の機能だけで、波及事故を防ぐことが出来ます。

電力会社側の地絡継電器よりも早く開放することがポイントです。

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まとめ

  • PASは需要家と電力会社の責任分解点の直近に設置し、SOG動作機能で波及事故を防ぐ。
  • PASは負荷電流は遮断できるが、過電流・短絡電流は遮断できない。
  • SO動作は過電流・短絡電流を遮断するための保護機能である。
  • G動作は地絡時に開閉器を開放させる保護機能である。
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