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【測温抵抗体・熱電対】原理、使い分け、配線について

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温度計(熱電対、測温抵抗体)とは

プラントや工場などでは様々なエネルギーや流体を扱い、例を挙げるとそれらには蒸気や薬品、冷水、熱水、ガスなど多岐にわたります。

こういったプロセスの温度を正確に把握することは、工場運営においては非常に重要であり、これを実際に成し得るために使用するのが温度計(センサ)です。特に工業用に用いられるもので汎用的な温度計としては、熱電対測温抵抗体が代表として挙げられるでしょう。

温度計(測温抵抗体、熱電対)について

イラストのようなイメージで、熱電対と測温抵抗体はそれぞれどちらでも温度を測定できますが、その測定原理は双方で異なります。

  • 熱電対ゼーベック効果(異種金属間の2点の温度差によって起電力が発生する事象)
  • 測温抵抗体オームの法則(電流と電圧の関係を示す法則)

測定原理についての詳細は後述します。

また形状や保護方式にもいくつか分類がなされており、熱電対・測温抵抗体ともによく見かけるのはイラストのような保護管方式シース方式です。

保護管方式

熱電対・測温抵抗体の素子やシースを保護管に挿入して使用するタイプになります。

保護管は素線の酸化や腐食を防ぐ効果が期待され、同時に機械的強度を持たせることにも貢献します。形状材質もメーカーから多岐に用意されており、ユーザーは各々のプロセスに合致したものを選定する必要があります。

シース方式(リード付)

保護管方式とは異なり、細い金属のチューブ(シース)を使用するモデルになります。

保護能力は保護管方式に劣りますが、シースは外径が細く曲げやすいため、スペースに余裕のない場合や、物体の裏側の隙間など、保護管では困難な箇所の温度測定に最適です。また保護管方式よりも応答速度に優れるといったメリットも存在します。

 

これら温度計は調節計や記録計と組み合わせて使用するケースが多いです。(調節計については以下の記事を参照願います)

【調節計】PID・カスケード制御に用いられる調節計の仕組みや機能について
概要 調節計とは温度・圧力・流量などの物理量やプロセス量(測定値)を目標値(設定値)と比較し、一致させるように制御を行う機器のことです。 デジタル指示調節計とも呼ばれ、工場やプラントなどで幅広く使用されています。 分かりやすく表したものが、...

概要については以上になります。熱電対、測温抵抗体の両者のイメージがつかめたところで、詳細な原理について述べていきます。

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熱電対の測定原理について

まずは熱電対の測定原理について見ていきましょう。

ゼーベック効果について

熱電対は先に述べたようにゼーベック効果と呼ばれる原理を用いており、これは「異種金属の接合2点間の温度差で起電力が発生する」というモノです。

文字では分かりづらいと思いますので、下記のイラストを参照ください。

熱電対の測定原理について

イラストのように温度測定点は金属(+脚)金属(-脚)が接する形となっています。この二種の異種金属は測定器(変換部)まで延長されて接続されており、測定器内部でもこの異種金属は張り合わされています。

すると測定点(100℃)変換部(20℃)の間には80℃の温度差が存在するため、ゼーベック効果によって、この一連のループに80℃分の起電力(電位差)が発生します。

この起電力を取り出すことによって、測定器側は温度を逆算することが出来るのです。

この異種金属の組み合わせは決まっており、その組み合わせによってK型熱電対、J型熱電対などと種類が分かれています。ちなみにK型熱電対が産業界では最も普及しており、特殊な要求事項がない限りは、まず始めにこのタイプの採用を検討します。

補償導線について

熱電対の利用において絶対に知らなければならないのは、補償導線という延長ケーブルの存在です。

測定部にあたる熱電対は比較的高価であるため、計器と測定部の距離が長くなる場合、そのまま同種の材料で延長するのは経済的ではありません。

かといってこれに通常のケーブル(銅線)を使用するのは、ゼーベック効果を考慮すると問題となります。銅線では温度勾配において起電力が発生しないためです。

このため延長部分には、熱電対と同じ起電力特性を持つ材料を使用する必要があります。この点、補償導線は0~60℃の範囲内においては熱電対とほぼ同等の起電力特性を持つため、条件に合致します。

イラストのような利用を心がけましょう。

基準接点補償

イラストのように測定部と変換部間の温度については、ゼーベック効果によって検出できます。

しかし変換部の20℃分がそのままではすっぽり抜け落ちるため、変換部の端子付近の温度を測定し、0℃基準の起電力として加算することで、最終的な真値を得ることが出来ます。

これを基準接点補償と言います。知らなくても計器が勝手にやってくれますが、一応おさえておきましょう。

 

以上で、熱電対の説明を終わりです。原理を知っておけば、例えば校正作業などを正確に行えると思います。

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測温抵抗体の原理について

次に測温抵抗体の測定原理について見ていきましょう。

オームの法則による計算

測温抵抗体はオームの法則を用いるため、常に計器側(変換部)から規定電流という一定の微小電流を流しています。

オームの法則により「検出部の金属or金属酸化物の電気抵抗は温度によって変化する」という特性が明らかであるため、この微小電流を流したことで得られる電圧から、温度を逆算することが可能です。

測温抵抗体の測定原理について

実際にどういった経路で電位差を取り出すかを、イラストを見ながら追いましょう。ちなみにこのイラストでは工業用途で最も使用される、3線式の結線を行っています。

計器側から規定電流Iが常に一定で流れ、これが測温抵抗体の抵抗Rtを通り、変換部端子Bへと戻ります。このループによって端子A、B、b間にはそれぞれV1、V2の電位差が発生します。

ここで知りたいのは測温抵抗体Rtにかかる電圧Vであるため、これから以下のように計算します。

V1-V2 = I×(R+Rt) – I×R = I×Rt = V

この赤字部のIは規定電流であり、そしてVが計算から分かるため、Rtが求められ、測定部の温度を知ることが出来るのです。

規定電流

温度検出部の抵抗体に流す微小電流を指します。0.5mA、1mA、2mAの三種類がJISに規定されており、この値が大きいと自己加熱による測定誤差が大きくなり、かといって小さ過ぎると発生電圧が小さくなり、測定が難しくなります。

そのため通常は2mAを選択し、高精度が要求されるケースで1mA、0.5mAを選択します。

測温抵抗体の接続方式

順番が少し前後しますが、測温抵抗体には2線式、3線式、4線式の三通りの結線方法があります。

2線式

抵抗素子の両端に、それぞれ一本の銅線を結線する方式。配線抵抗によって誤差が生まれるため実用的ではありません。

3線式

イラストですでに紹介した結線方式で、抵抗素子の片側に2本、もう片側に1本の導線を配した方式です。3本の導線の抵抗値が等しいことが前提となりますが、配線の抵抗を回避できるため、最も汎用的に使用されます。

4線式

測温抵抗体の抵抗素子両端に、2本ずつ導線を接続した結線方式です。最もコストがかかる方式ですが、導線抵抗の影響を完全に除去できます。

 

測温抵抗体には様々な抵抗素子が用意されており、必要な測定温度帯によって、素子を決定します。熱電対よりも一般的に精度が高いため、反応槽の温度測定などで活躍します。

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まとめ

  • 工業用途の温度計(センサ)では熱電対、測温抵抗体がよく使用される。
  • 熱電対はゼーベック効果を利用した温度計測センサである。
  • 測温抵抗体はオームの法則を利用した温度計測センサである。
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