概要
差圧式(液圧式)レベル計とはタンクなどに用いられ、タンク内の液位を圧力から算出する計装機器です。
液体の圧力と液位は比例する関係にあります。
下のイラストのように液位(波高距離h)が高くなるほど、液圧式レベル計の受圧部にかかる圧力は大きくなります。
測定圧力P、波高距離h、液体密度ρ、大気圧をPLとすると
$$P=ρgh+PL$$
上記のような関係があり、液位(波高距離h)が高くなるほどに液圧Pは大きくなります。
この原理によって圧力から液位が算出できるんですね。
ただし内容液の純粋な圧力のほか、大気圧やタンク内圧もこの方法では一緒に検出してしまいます。そのためこの誤差分PLを解消する必要がります。
差圧式レベル計について
液圧式レベル計は、前項で説明した差圧式レベル計(差圧発信器)は主に三種類に分類されます。
- 開放タンク(大気圧比較)
- ドライレグ方式
- ウェットレグ方式
それぞれ誤差となる大気圧やタンク内圧をキャンセルするための機構になります。
開放タンク(大気圧比較)
主に開放タンクに使用される方式で、レベル計は一方でタンク内の圧力、もう一方では大気圧を測定し、大気圧分を差し引いて圧力を算出します。
測定圧力P、H側圧力PH、L側圧力PL、波高距離h、液体密度ρとすると以下の式で表されます。
$$P=PH-PL=ρgh$$
天候が変われば大気圧は大きく変化するため、液量が少ない時は測定誤差は大きくなります。
しかしこの方式によって大気圧変化分はキャンセルされます。
タンク底部に取り付けるだけで他に特別な工作が不要であるため、大気圧と比較する差圧式レベル計は開放タンクで最も汎用的に使われます。
ドライレグ方式
主に密閉タンクに使用される方式で、レベル計に一方はタンク内容液、もう一方を導圧管で伸ばした先のタンク上部に繋げ、タンクの内圧を測ります。
導圧管の内部にはドレンを蓄積しない方式であるため、ドライレグ方式と呼ばれます。
測定圧力P、H側圧力PH、L側圧力PL、波高距離h、液体密度ρとすると以下の式で表されます。
$$P=PH-PL=ρgh$$
原理としては先の開放タンクと変わらず、L側で内圧を測定することで測定値から相殺されます。
とはいえこの方式だと、タンク液が気化して導圧管を通してL側に液体として流入すると問題となります。
ウェットレグ方式
ドライレグと同様に密閉タンクに使用される方式で、レベル計に一方はタンク内容液、もう一方を導圧管で伸ばした先のタンク上部に繋げ、タンクの内圧を測ります。
導圧管の内部にはあらかじめタンク液か、気化しにくいシール液を蓄積する方式であるため、ウェットレグ方式と呼ばれています。
測定圧力P、H側圧力PH、L側圧力PL、波高距離h、液体密度ρとすると以下の式で表されます。
$$P=PH-PL=ρgh-ρghL$$
この方式は先の開放タンク、そしてドライレグ方式とやはり変わりません。
気化しやすいタンク液を内容物としている際、ウェットレグ方式が採用されます。
導圧管内部にはタンク液orシール液が満たされているため、L側(導圧管側)の方がH側(密閉タンク側)よりも圧力が大きくなります。
そのため計算上スパンはマイナスの範囲で行います。
以上、三種類が差圧式レベル計の方式になります。
まとめ
- 差圧式(液圧式)は液体の圧力から液位を算出する計装機器である。
- 大気圧や内圧をキャンセルするため、差圧式が汎用的に用いられる。
- 差圧式には開放タンク用、ドライレグ方式、ウェットレグ方式が存在する。
参考文献・サイト
- 川村貞夫/石川洋次郎『工業計測と制御の基礎―メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎 第6版』工業技術社,2016年
- 株式会社キーエンス『差圧式レベルセンサ』 https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/levelsensor/type/difference.jsp
- エンドレスハウザー『圧力/差圧伝送器』 https://www.jp.endress.com/ja/Field-instruments-overview/Pressure-measurement-product-overview
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